小規模多機能型居宅介護みんなの家・稲城長沼
【一日一心】生きもんはあたたかい
YO、みなさん、こんにちは!
みんなの家・稲城長沼の王です。
日本各地で梅雨入りのニュースが届いていますが、昨日の蒸し暑さには驚きました。
今年の梅雨は「ジメジメ」よりも「ムシムシ…そして暑い!」という感じですね。
雨が降るときは土砂降り、晴れたらカンカン照り…なかなか極端な天気が続いています。
さて、気づけばコロナ禍からもう5年が経ちました。
介護や医療の現場では、まだマスクを手放せない方も多いのではないでしょうか?
ちなみに僕はというと…マスクをつけるとちょっと小顔に見えるので、いまだに外せていません(笑)。
小さな命、大きな癒し。動物カフェ「モッフル」へ
6月11日、水曜日。立川の街が、やわらかな雨に煙っている。
だけど、私たちの心は晴れ晴れとしていました。
この日は、ご利用者様5名と一緒に、ふれあうカフェ「モッフル」へ外出レクリエーション。
今回のメンバーは、昔ワンちゃんやニャンコと暮らしていた、いわば“動物愛のレジェンド”たち。
動物の話になると、もう止まりません。
ドアを開けた瞬間、もう心はとけていた
お店に入ると、まず目に飛び込んできたのは、大きなフクロウと、ゆっくり歩く陸ガメ、そしてなぜか天井からぶら下がるナマケモノ……!
さっそく、インコ、ヒヨコ、ウサギちゃんたちとのふれあい。
ウサギを抱っこしながら、無意識に背中をポンポンと撫でていたU様。その姿は、まるでかつての“お母さん”のようでした。
「子どもができたときの気持ち思い出すね」
「ぬいぐるみと思ったら、全部本物だ!」
「ああ~インコが腕に乗ってくれたわ」と喜びの声が次々と。
お一人ひとり楽しんでいる姿
名前を呼べば、あの日が帰ってくる 〜チョコちゃん、また会えたね〜
犬のふれあいコーナーで、茶色いプードルがひょいとY様の膝に飛び乗ったそのとき、Y様の表情がふっと変わりました。
驚いたような、でもすぐに懐かしさがにじむような……そんな優しい顔。
「チョコ……みたい」
そう、ぽつりとこぼれたその名前に、私たちはそっと耳を傾けました。
「チョコも、プードルだったの」
「チョコも、こんな茶色でね。チョコも、こうやって……私のひざの上が好きだった」
プードルの背中をなでながら、彼女の視線は遠い日のリビングに吸い込まれていくようでした。
「朝になると、“起きてよ”って顔をなめてくるの。寒い日は毛布にくるまって、一緒にお昼寝して……ほんとに、うちの子だった」
その瞳の奥に映っていたのは、誰にもまねできない“日常の愛しさ”。
声に出せなかった思い出が、ぬくもりと共に、ぽろぽろとこぼれていくようでした。
「今でも夢に出てくるのよ。今日、この子に会えたのも、チョコが“来なさい”って言ってくれたのかもしれないね」
「俺が首に巻いてやる」 〜ヘビとおじいちゃん、笑いの渦〜
そんな癒しのひとときのなか、ひときわ盛り上がったのがヘビとのふれあい。
「怖い〜!」と女性陣が腰を引く中、
「俺が首に巻いてやるよ」とニヤリと笑ったのはY様。
スタッフが止める間もなく、するりとヘビを首に巻いてポーズ!
「Y様、ヘビの首は締めないでよ!」
その場にいた全員が吹き出しました。
動物は心の扉をノックする
動物たちとのふれあいには、不思議な力があります。
言葉では伝えきれない想いや記憶を、やさしく呼び覚ましてくれるのです。
認知症の方にとって、“今”の感覚が薄れてしまうことはよくあります。
でも、動物たちのぬくもりに触れると、不思議と「昔」の感情や記憶が蘇ることがある。
「昔な、うちのじゅんちゃんもこんな毛やったわ」
「餌やったら、耳がぴょこぴょこと動いてる…」
動物たちは、心の奥の“鍵のかかった引き出し”を、そっと開けてくれる存在だと、改めて感じた1日でした。
〜笑顔の先にある「生きる力」〜
今回の外出レクリエーションを通して、私たちがあらためて感じたのは、
「笑顔は、生きる力になる」ということ。
日々の暮らしの中では、どうしても“介護”という枠の中で時間が流れがちです。
でも、今日のように外の風を感じ、新しい命にふれることで、
ご利用者様たちが、一人の「人」として、自由に笑い、語り、思い出し、ときには涙する。
それは、施設という枠を超えて、
“人間らしさ”を取り戻す、大切な時間だと思います。
「どんな時も、心を育てるのは“ぬくもり”だ」
── 宮沢賢治の言葉になぞらえて。
「一日一笑」なんて、夢じゃない。
これからも、みんなの家では“笑顔の種”を探し続けていきます。
本日も、たくさんの笑顔で過ごしてくださり、ありがとうございました。

