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スタッフブログ

小規模多機能型居宅介護みんなの家・稲城長沼

2025年3月13日

【一日一心】同じ空の下 「青春編」

みなさん、こんにちは。

みんなの家・稲城長沼の投手、王です! 

 

久しぶりのブログ更新ですが、みなさんは元気に過ごされていますか。

 

今朝、子供の健診があり、生まれたときは未熟児だった我が子が、今では元気いっぱいに9㎏にまで成長していることが分かりました。

小さな手で指差しながら「これがほしい!」と伝えるその姿は、とても可愛かったです。

 

妻が「ドンドン大きくなっているね」と目に涙を浮かべながら喜ぶ様子を見るたびに、

私たち家族にとっては毎日が特別で、予想もしないサプライズで満ち溢れています。

野球で取り戻す青春

最近、よみうりランドにジャイアンツの新しい球場ができたと聞き、

今日は20代から巨人ファンとして情熱を燃やし続けた男性利用者3名と一緒に球場へ出かけました。

仕事の合間にも趣味として野球を愛し、初めてこんなに近い距離で球場の熱気を感じることができたのは、まるで夢のよう。

 

「俺、昔は野村さんと話したことがあるんだよ。何を話したのかなぁ…」

「大谷選手は何番?え?いないの…」

「おおー!ほら見て!ナイスバッティング!」

「今日の試合は当たりだな!やっぱり野球は面白いね!」

 

彼らの顔に浮かぶ笑顔は、再び純粋な少年時代の情熱を蘇らせ、見るたびに私の心が温かくなりました。

利用者さまの現実

S様
野村監督に会ったことある。だそうです(笑)
好きな野球選手:石原裕次郎
座右の銘:面倒くさいことは嫌
アピールポイント:ベッド入り

Y
趣味:カラオケ
好きな食べ物:大盛
座右の銘:何か食べ物ある?
アピールポイント:少年野球の監督をしていた。だそうです(笑)

K様
好きな食べ物:黒糖ロール
将来の夢:免許を取って、バイクに乗りたい
住まい:以前はよみうり野球場の近くに。だそうです(笑)
アピールポイント:大谷選手はやっぱりすごい!大谷選手はどこ?

しかし、現実はいつも甘くはありません。

私たちの施設では、外出の機会が限られており、最近、職員さんからは認知症の進行が懸念される報告も受けました。

 

ある方は、「家でゆっくり過ごしたいのに、毎日デイサービスに行かせられる」「男はつらいよ」と苦笑いする姿がありました。

 

ある方は、昼夜逆転の日々の中、朝の4時に施設のカラオケ機械をつけ、情熱的に歌っていました。

食べたことを忘れ、いつもご飯を欲しがっています。

 

ある方は、免許証の更新を望みながらも、多摩川周辺で道に迷い警察に保護されるという出来事があり、数日後にはそのことをすっかり忘れてしまっていたのです。

「俺、警察署になんて行ってないよ。それより、昨日はすごかったよ。お姉さん四人に囲まれて、ナンパされちゃってさ!」と、

その軽い口ぶりに、私は思わず笑ってしまいましたが、同時に胸が締め付けられました。

寄り添う日々

認知症の方々は、特別な出来事を大げさに語るのではなく、

日常にあふれる何気ない気持ちを、どう表現すればよいのか、その難しさに悩んでいるのかもしれません。

声にならず、心の中にしずかに積もる思いは、時に不思議な行動となり、家族とのすれ違いや摩擦となって現れるのです。
 

認知症の方と初めて出会ったとき、私に対しては険しい表情と警戒心が溢れていました。

しかし、私は心から、利用者さまの心に寄り添いたいと願い、一緒に動物園へ行き、ご飯を食べ、コンサートを楽しみ、買い物や通院にまで同行しました。

少しずつ、少しずつ、利用者さまの閉ざされた心の扉は、温かな光に照らされてゆっくりと開かれていったのです。

 

利用してから数ヶ月後に、

初めて施設の温かな風呂に浸かったときの横顔、

初めてショートステイを利用したとき、いびきをかいてぐっすり寝られた姿、

初めてスターバックスを味わい、初めてオペラのコンサート、初めて保育園の子と一緒にテレビゲーム、初めての大人の学校に参加…


「私の携帯は24時間いつでも繋がっているから、何かあればすぐに電話してね」とお伝えしたので、

夜中の1時、2時に電話がきて、さらには5時、6時に、自転車で施設へと駆けつけることで、利用者さまの生活の中でも確かな安心感がありました。
 

絶えない繋がり

認知症になっても、人と人との繋がりは決して消えません。

人生の大きな変わり目に、そっと温かな手を差し伸べる人がいるのです。

その手に気付いて、心を開いてもらうまでは、寄り添うことが大切です。
 

認知症になっても、独りぼっちでも、決して孤独ではない。

僕は、利用者さまを特等席で見守っている。


今を、そして明日も、ともに歩んでいきましょう。

たとえ僕のことを忘れていても。また一緒に始めよう。

笑顔の時も涙の時もどんな記憶を積み重ねても、一緒に夢の破片を集めて、パズルのように埋めていこう。


今日も、ありがとうね。同じ空の下、一緒に歩いていくこと、心から感謝しています。

 

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