小規模多機能型居宅介護みんなの家・稲城長沼
【一日一心】初めまして、あなたに似ている人へ
YO、みなさん、こんにちは。
みんなの家・稲城長沼の「餃子の王」です~
今年も一年、本当にお疲れ様でした。
そして、つい1週間前、私は無事38歳になりました。
38歳といえば、まだ若いと思っていたら、施設の職員から「おめでとうございます!いよいよ40代のおじさんに見えるね」なんて言われてしまいました(笑)
今年も利用者の皆さん、そしてご家族の皆さんにたくさんの温かい瞬間を頂きました。
来年も、この場所が笑顔と幸せに溢れるよう、職員一同力を尽くしていきます。
そして、私自身もより一層成長し、皆さんの役に立てる管理者でありたいと思います。
さて、年の瀬に施設で「年越し焼き餃子」のレクを開催しました。
利用者様のご家族もお手伝いにきてくれて、餃子の香ばしい香りが広がる中、笑顔や笑い声が絶えませんでした。
年の瀬に繋がる餃子~
今日の餃子の具材は、ひき肉にエビ、ニラ、万能ネギ、生姜…
さらに、桂皮や山椒、八角のスパイスが効いた水と胡麻油をたっぷり混ぜ込んで、ほんのり香り高い餃子に仕上がりました。
ひとつひとつ、心を込めて焼き上げた餃子は、まるで家族のような温かさが感じられます。
「初めまして。あなた、うちの娘に似ているわね」
施設の中は温かな活気に満ちていた中、特に目を引いたのは一組の親子でした。
お母様である利用者と、その娘さん。
娘さんは仕事を抱えながらも、お母様のことを懸命に支え続けています。
しかし、お母様の認知症が進む中で、ときに娘さんの顔がわからなくなることもあります。
この日も、餃子を食べながらお母様は娘さんにこう語りかけました。
「初めまして。あなた、うちの娘に似ているわね。」
娘さんは一瞬だけ驚いた表情を見せましたが、すぐに柔らかい笑みを浮かべて答えました。
「そうだね、似てるかもしれないね。」
心の奥底にはきっと変わらないものがある。
焼きたての餃子をそっとお母様の皿に取り分ける娘さん。餃子が熱くないか気遣いながら、静かに声をかけます。
その姿は、まるで親が子を守るような優しさに満ちていました。
お母様は再び娘さんを見つめ、こう言いました。
「あなた、うちの娘と本当にそっくりね。」
その言葉に、娘さんは少し微笑みを浮かべて応えます。
「そうだね、そっくりだよね。」
その瞬間、どちらが親でどちらが子かを超えて、二人の間に温かい光が流れたようでした。
その何気ないやり取りには、言葉以上の深い意味が込められていました。
お母様の記憶が薄れゆく中でも、娘さんは決してそれを悲しみや怒りに変えず、ただ穏やかに受け止め、寄り添っている。
娘さんがこうしてお母様を支えているから、
お母様も安心して過ごせるのです。
夕陽と朝陽
餃子を囲む親子の姿に、ふと思い出しました。
実家では、年末年始に餃子を作り、夕陽が沈む頃から深夜、そして正月の朝陽が昇るまで、途切れることなく餃子を食べ続ける習わしがあります。
夕陽から朝陽へと移り変わる時間の中で、人々は餃子を囲みながら大切な家族と過ごし、過去を慈しみ、未来に希望を抱くのです。
いつか、私も静かに山を下りる日が来るだろう。
その道は、杖を頼りに一歩一歩進むものかもしれない。
そして、その先のどこかで、元気いっぱいの子どもが駆け上がってくる。小さな手には、大切な何かをしっかり抱えて。
その子は私ではない、
けれど、本当にそう言い切れるのだろうか。
命は誰かから誰かへと受け継がれ、その中で確かに繋がり続けていく。
記憶が薄れゆく中でも、親子の絆が変わらずそこにある…
「初めまして……」
「あら、あなたじゃん…まったく…探してたのよ~」(笑)
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